がんや治らないと言われる病気(アレルギーなども含む)に直面したとき、「治りたい」「元気になりたい」「また普通の生活を送りたい」「子どもの成長を見続けたい」——そんな切実な願いから、標準治療のほかに何かできることはないかと考える人は多いでしょう。
しかし、実際には効果が証明されていないものや、誇大広告による悪質なケースも存在します。そのため、自分にとって「本当に信頼できる情報は何か?」を見極めることが大切です。
ここでは、あなたにとって大切な情報を選ぶための3つのポイントを紹介します。

【それって本当に必要なこと?】
あなたやご家族の病状や症状、これからについて検索をしていくと必ず目にするのは体験談です。
この体験談は「私だけではないんだ」という安心感を得られるとともに、これからをイメージしやすいものが多いです。
SNSでもやはり体験談を求めた投稿を目にすることが増えました。「私もそうでした!」「でも今は○○です!」という前向きなコメントなどをみるのも、自分だけではない安心感を得られるかと思います。さらにSNSはAI操作により、いいねやコメント、クリックなどを行うと似たような情報だけが流れてくるようになっています。そのため目にする情報は似たものがどんどんと増えていくことになります。
しかし、【体験談はあくまで個人の経験であり、あなたと同じ結果になるとは限らない】ということをはっきりとお伝えしたいのです。
インターネットや本、SNSにある体験談のなかには、「この方法でがんが消えた」「この療法で劇的に回復した」といった情報が多くあります。こうした情報は希望を与えてくれることもありますが、一方で、「自分も同じように治るはず」と過度な期待を抱いてしまう危険性があります。
さらにAIにより似た情報が流れてくるため、1つの体験談があたかも真実であるかのような錯覚を脳は起こしていくのです。
でも大切なことを思い出してください。
病気の進行度、体質、治療歴、生活習慣などは人それぞれ異なります。同じ方法を試しても、同じ結果になるとは限らないのです。
そして体験談の中には、意図的に都合のいい情報だけを切り取ったものもあります。それがつぎにお伝えする標準治療と補完代替療法です。特に補完代替療法には「実際にどのような根拠があるのか?」「どこで研究されたデータなのか?」といった冷静さを失うほど魅力的なものもあるのです。
そこで『それって本当に必要な情報、療法なのかな?』という視点を持っていくために必要なことをお伝えしますね。
【標準治療と補完代替療法】
がんなどの治療方法を検索していくと、必ず出てくるのが標準治療と呼ばれるものに出会います。
では【標準治療】が何かというと・・・
標準治療
ひょうじゅんちりょう
標準治療とは、科学的根拠に基づいた観点で、現在利用できる最良の治療であることが示され、ある状態の一般的な患者さんに行われることが推奨される治療をいいます。
一方、推奨される治療という意味ではなく、一般的に広く行われている治療という意味で「標準治療」という言葉が使われることもあるので、どちらの意味で使われているか注意する必要があります。なお、医療において、「最先端の治療」が最も優れているとは限りません。最先端の治療は、開発中の試験的な治療として、その効果や副作用などを調べる臨床試験で評価され、それまでの標準治療より優れていることが証明され推奨されれば、その治療が新たな「標準治療」となります。(c) 国立研究開発法人国立がん研究センター より https://ganjoho.jp/public/qa_links/dictionary/dic01/modal/hyojunchiryo.html
つまり標準治療は、世界中で多くの患者に対して行われ、その効果と安全性が科学的に証明されている治療。例えば、抗がん剤治療や放射線治療、手術などは、専門家による研究と膨大な症例データに基づいていて行われているのです。
しかし抗がん剤は、毒であるとか新しい病気を生み出すものだ、というような情報もSNS界隈では目にすることがあります。もし本当に毒であるならば世界中で毒に侵された人が出ているハズ。
でもそうではなく、実際にその治療によって寛解になる人も私はたくさんみてきました(白血病や悪性リンパ腫などで抗がん剤、放射線治療、移殖する方がいる血液内科に従事していた経験もあります)。
現在使用されている、医師が提示してくる標準治療の治療薬や治療方法は、毒でもなければ新しい病気を生み出すものではありません。安心してくださいね。
一方、【補完代替療法】と呼ばれるものがあります。
補完代替療法とは、サプリメント、アロマ、水、塩、自然派食品、ヨガ、鍼灸、気功、運動、マッサージ、音楽療法、温泉療法、免疫療法など、さまざまな療法があります。
補完代替療法は悪いものではありませんし、禁止されるものではありません。しかし、科学的な根拠が十分でないものもあるのが事実なのです。
*参考)国立研究開発法人国立がん研究センターの資料→ https://ganjoho.jp/public/qa_links/book/public/pdf/37_175-177.pdf
実際、サプリメントやアロマなどは日常に溶け込んでいます。サプリメントは補助食品になっているものもありますし、アロマにより心に安らぎを感じて、日常に癒しがある場合もあります。
また私が個人的に行ったオーストラリア・メルボルンでの看護研修時には、メディカルアロマという分野を学びました。個人の症状にあうアロマを使用し、そのアロマの効果・効能により症状を緩和していくものでした。
日本で正式に認められているメディカルアロマは、イギリス式のアロマテラピーだけと言われています。しかしこのイギリス式を含め情報はあふれかっているため、どれが正式でどこが違法なのか?が非常にわかりにくい状況になっています。
この記事を書くにあたり改めて私も検索しましたが、正直、非常にわかりにくく全てが正しいように感じてしまう記載のものばかりでした。
同じように免疫療法や自然療法といった言葉を聞くと魅力的に感じるかもしれませんね。
検索をしていくなかで、公式ホームページや体験者の声などを読むととても誤情報のように感じないものも沢山あります。
ですが、国立がん研究センターの資料にもあるように、その中には十分な研究データがないもの。効果が不明なものや、むしろ健康を害するリスクがあるものも含まれています。高額なものやいつの間にか継続して引き落とされている、、なんてこともあるのです。
もしあなたやご家族が、補完代替療法を取り入れていきたいという時は、まずは主治医や看護師に相談をしてください。
病状によってはサプリやアロマが合わないこともあります。ヨガやマッサージ・運動も危険なこともあり得るのです。
新しい治療法を検討するときは、信頼できる医療機関や専門家の情報を参考にされてくださいね。
【あなたに合う正しい情報に触れていくために】
情報を検索するほど迷いや比較が生まれます。
そうなった時に、あなたに合う正しい情報に触れていくために必要なことは、主治医や医療的な公的機関の情報を活用することです。
病気になると、「この治療法はどうなの?」「他にもっといい方法があるかも?」と迷いが生じます。しかし、あまりに多くの情報を集めすぎると、かえって混乱してしまうこともあります。
そこで公的機関の情報や主治医の意見を優先的に活用するのが有効です。
例えば・・・
- 国立がん研究センター「がん情報サービス」 https://ganjoho.jp
- 厚生労働省の医療情報サイト (あなたの治療薬や治療名+厚労省と入れて検索)
- 各病院の公式サイトや専門医の意見
- がんなどの場合は患者会
ここで決してやってはいけないのは、SNSだけで情報収集をすることです。
いまはWeb検索よりSNSでの検索がメインになっている世代もあります。患者さん同士、似た状況の方々が個人と個人の交流の場として、安心感や言えない気持ちを吐露することは問題ありません。むしろ気持ちを吐露できる場所が1つあることは大切なことです。
しかし、治療方法・治療薬・予後についてなどは鵜呑みにするのはあまりにも危険です。
何か魅力的な情報、魅力的なコメント・ダイレクトメッセージが届いても安易に取り入れていくのは控えていきましょう。
その情報を一旦Web検索する、周囲に相談する、何より主治医や看護師に相談を行ってくださいね。
【まとめ】
病気と向き合う中で、さまざまな情報が舞い込んできます。大切なのは【自分にとって本当に信頼できる情報を選ぶこと】です。
そのための3つのポイントは、
- 体験談を鵜呑みにしない。あなたと全てが同じにはならない。
- 標準治療は科学的に効果が証明された治療。補完代替療法はダメではないが、必ず主治医や看護師に相談する。
- 迷いや混乱を減らすために、公的機関の情報や主治医の意見を活用する。
こうした認識を持つだけでも、不確かな情報に振り回されることなくあなたに合う情報に触れていけるようになります。
そして不安なときは、ひとりで抱え込まないことです。信頼できる医療者や家族と話し合いながら、冷静に判断していきましょう。
不安や迷惑をかけたくないといった気持ちを一つずつ解消してこれからを過ごしていけますように。